ヒーローの鎧を脱ぎ捨てた男の今——原田篤が挑む「第2の人生」と地方創生の現場
原田 篤——その名を聞いて、かつて日曜の朝を熱狂させた特撮ヒーローの勇姿を真っ先に思い浮かべる人は少なくないだろう。『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のゴーグリーン/巽ショウ役で一躍脚光を浴び、『仮面ライダー555』の仮面ライダーデルタ/三原修二役や大ヒットドラマ『ごくせん』など、1990年代末から2000年代にかけての日本のテレビドラマシーンを彩った俳優のひとりだ。
しかし、画面のなかで華々しく脚光を浴びた過去の実績だけに甘んじる男ではない。表舞台の喧騒から一度距離を置き、飲食店経営やモバイル販売、さらには地方都市の魅力を発掘する地域活性化プロジェクトまで、現在の原田 篤が見せるバイタリティは圧巻というほかない。泥臭い現場仕事も自ら買って出ながら、新たな価値を生み出し続ける彼の挑戦は、人生の岐路に立つ多くの人々に強い刺激を与えている。
『救急戦隊ゴーゴーファイブ』から『仮面ライダー555』へ:ヒーロー黄金期を駆け抜けた軌跡

原田のキャリアを語るうえで欠かせないのが、特撮ヒーロー作品で見せた鮮烈な存在感だ。1999年に放送された『救急戦隊ゴーゴーファイブ』では、人命救助に命を懸けるレスキュー隊員・巽ショウ(ゴーグリーン)を熱演。熱血でありながらどこか親しみやすい演技は、子どもたちだけでなく親世代の心も掴んだ。
勢いは止まらない。2003年には『仮面ライダー555』に出演。複雑な過去を抱えながらも戦う仮面ライダーデルタ/三原修二役を演じ、作品の持つダークで奥深い世界観を見事に体現してみせた。さらに学園ドラマの金字塔『ごくせん』第1シリーズへの出演など、20代の原田はまさにエンタメ界の第一線を全力疾走していた。
「人気俳優」という肩書を捨てて見えた世界:葛藤と決断の30代

順風満帆に見えた俳優人生。しかし、30代を迎えた頃から彼の心の中にひとつの疑問が芽生え始める。カメラの前で誰かを演じ続けることだけが、自分の人生のすべてなのだろうか。
華やかな芸能界の裏側には、常に評価される重圧と将来への不安が隣り合わせで存在する。原田は現状に甘んじることを嫌った。固定化された「元ヒーロー俳優」というイメージを一度リセットし、自分自身の手で一から何かを作り上げたい。その強い想いが、彼を未知なるビジネスの世界へと突き動かすことになる。
飲食店経営から移動販売へ:現場主義が生んだ泥臭い試行錯誤

俳優業と並行して彼が踏み出したのは、飲食業界という異分野だった。居酒屋や飲食店のプロデュースを皮切りに、自ら厨房に立ち、接客を行う日々が始まった。芸能人という看板に頼るのではなく、味とサービスで客を満足させることの難しさを、身をもって体験したという。
一筋縄ではいかない経営の現場。コロナ禍の猛威や社会情勢の変化といった荒波にも呑まれた。それでも原田は折れなかった。店舗運営だけでなくキッチンカーによる移動販売を展開するなど、変化に対して柔軟に形を変えるしなやかさを見せた。「頭を下げ、汗をかき、直接人に届ける」。現場主義の泥臭い経験が、彼のビジネスパーソンとしての足腰を強靭に鍛え上げたのだった。
日本各地を巡る地域活性化プロジェクト:地方の熱量を解き放つ
近年、原田が特に情熱を注いでいるのが「地方創生」を軸とした活動だ。過疎化や高齢化に悩む地方自治体や地元企業とタッグを組み、地域資源を活用したイベント企画や商品開発、プロモーションを幅広く手掛けている。
自ら日本全国の現場へ足を運び、地元の人々の声に耳を傾ける。かつて特撮ヒーローとして全国の子どもたちに夢を届けた男が、今度は地域社会の課題解決に立ち向かうキーマンとして汗を流しているのだ。有名人を使った単なる一時的なイベントで終わらせず、持続可能な地域経済の循環を作る。彼の眼差しは常に本質的な地域活性化へと向けられている。
ファンとの真の繋がりを再定義する「体験型コミュニケーション」
SNSが普及し、ファンとの直接的な交流の形が変化するなか、原田が実践しているのは「顔が見える対話」だ。イベントやファンミーティングでは、一方的なトークショーにとどまらず、ファンと一緒に汗を流したり、地域のお祭りに参加したりと、体験を共有するスタイルを大切にしている。
一方通行のファンサービスではなく、共に時間を過ごし、共に思い出を作る。一見すると効率的とは言えない手法かもしれない。しかし、この密度の濃いコミュニケーションこそが、長年にわたり彼を支え続けるコアなファンコミュニティの基盤となっている。彼の周りにはいつも、温かく熱量の高い人々の笑顔が溢れている。
2026年、表現者・原田篤が描く「枠に収まらない未来図」
2026年現在、原田篤の肩書をひとつに絞ることは極めて難しい。俳優、起業家、プロデューサー、そして地域活性化のアドバイザー。しかし彼自身は、自らの肩書に固執していない。
「どんな場所でも、どんな形でも、誰かの心を動かす表現ができればいい」。挫折や試行錯誤を繰り返し、泥をすするような経験も乗り越えてきたからこそ醸し出される言葉の説得力。ヒーローとして始まった彼の物語は、今や現実の社会を舞台にした、よりスケールの大きい挑戦へと進化を遂げている。これからも原田は、既存の枠組みを軽々と飛び越え、新しい時代の生き方を背中で示し続けていくはずだ。 (出典: 原田 篤(Yahoo!ニュース))